足りないからいい

テレビを観てたらこんなテロップが流れてきた。限界集落に住む人が言ったその地域の魅力だという。なんでも新しいものが欲しくなる自分が嫌だったから刺さった。「深い」、とスタジオの芸能人が呟いた。おれもそう思った。上手く説明はできないけれど、完全に満ち足りてしまったら幸せを幸せと感じられなくなる、といったところだろうか。寒いから温もりが際立つ。別れがあるから愛おしいと思える。毎日会えるわけじゃないから会いたいと思うし、会えばその瞬間を噛み締める。空白が、不足が人生を輝かせている。それなのになぜおれは求め続ける?どうして手元にあるモノに目もくれないで、手に収まりきらない快楽を求めようとする?そのうち本当に失いたくないモノ、大切なモノが埋もれて知らないうちに零れ落ちてしまうよ。目線を手元に落とそう。